【FI】大転換:日本が駆逐艦転換を計画-中国を念頭にF-35発注を拡大

弊社が日本代理店を務める米国市場調査会社Forecast International社のブログをご紹介します。(原文:Sea Change: Japan Plans Destroyer Conversion, Larger F-35 Order with China in Mind)

掲載:2018年11月28日
作成:フォーキャストインターナショナル(FI)社
投稿:ダン・ダーリン(FI社国際軍事マーケット・アナリスト)

三沢(日本)における公開式典、2018年2月24日。航空自衛隊・三沢基地。
写真:ロッキード・マーティン社

日本政府は、今後の『中期防衛力整備計画』(日本の軍事取得計画)を左右する新たな『防衛計画の大綱』の防衛能力目標政策を策定しているが、その中で、互いに補完することを意図された2つの大きな検討事項が注目される。

第一は、日本の42機のF-35ステルス戦闘機購入計画を補完するために、88億ドル(1兆円)で最大100機を追加購入することが関係している。従来の発注には、1980年代初頭に稼動し老朽化したF-4EJファントムの後継機になるF-35A通常離着陸型が含まれている。

日本は既に、2014会計年度から2018会計年度を対象とした現在の『中期防衛力整備計画』の下で、42機のうち28機を発注している。
この42機のF-35発注のうち最初の4機以外の38機は、名古屋にある三菱重工業の最終組立・点検(FACO)施設で組み立てられる。

現在精力的に検討されている100機のF-35追加発注について、その狙いはF-35AとF-35″B”短離陸離陸・垂直着陸(STOVL)変種から成る混成航空機群を調達することである。これによりF-35B垂直離着陸ジェット機は海上での運用が可能になるが、これは第二次世界大戦以来、防御指向の日本が持っていなかった前方焦点の戦闘能力である。

この潜在的なF-35B発注は、日本の防衛政策計画グループによる第二の主要な検討事項から生じている。すなわち、海上自衛隊の「いずも」型ヘリコプター搭載駆逐艦2隻の空母への改修である。これは非常に費用のかかる提案であり、潜在的なF-35Bの購入に加えて、艦2隻の改造とその航空機定数用に約40億ドル(4,400億円)を要する。

日本政府が「いずも」型空母の変換に関する研究を実施しているという報道は今年初めから流されており、5月に与党自民党は次の『防衛計画の大綱』で「多目的空母」の提案を持ち出すように求めた。

現在、政府は12月中旬に政策アプローチ改定を採用する意図を持って、既存の『防衛計画の大綱』(2013年に最後に更新され、約10年間を対象とする予定)を見直しており、艦転換のアイデアが加速している。

しかし、このような措置は様々なハードルを伴う。その第一は、艦を空母に変換することが日本の憲法に違反するのではないかということである。日本は1947年の平和主義憲法第9条に基づいて攻撃的な戦争を行うことを制限されている。同条は日本が厳格に防衛的軍事態勢を維持すべきであると命じている。

しかしながら、安倍晋三首相は第9条の趣旨の拡大解釈を断念したことはなく、日本の防衛態勢が現在の安全保障環境に歩調を合わせ続けることを確実にしようとしている。ここで言う環境には、北朝鮮の核・ミサイル開発計画や、中国の侵略的軍備増強及び領土紛争へのアプローチへの対抗が含まれる。とりわけ中国は、日本から遠く離れた南西諸島の中で一番遠いところにある一連の小さな岩盤露出部である尖閣諸島に対する日本政府の所有権主張と支配に対して、日本と対立を続けている。

中国の挑発に対する南西諸島の脆弱性は、安倍政権が陸上自衛隊(JGSDF)内に、日本の遠隔諸島に対する攻撃への対応に責任を負う水陸両用予備部隊を立ち上げるように促した。これにはまた、日本の航空基地とその最外層にあり最も脆弱な島々との距離を縮める手段として、変換された「いずも」型空母の利用も当然含まれる。

尖閣諸島に最も近い航空基地は沖縄にあり、440キロメートル(273マイル)離れている。こうした遠隔諸島に対して航空掩護を提供する空母の能力は、それ故に、日本の戦力到達範囲を広げることによってその防衛能力を向上させる。これは、安倍政権は日本の伝統的な戦後の「専守防衛」 (もっぱらの防勢指向)という防衛アプローチの境界外に踏み出す政策を推進している、という批判に対して、政権が自らの立場を強化しようとする法的防御高地であるように思われる。

安倍首相はこれまで、多くの政治的信任を安全保障法制に賭け、うなだれることなく、そこから脱却してきた。3年前、彼の政権は新たな安全保障法案を可決することができ、自衛隊が軍事作戦に携わる同盟国にロジスティクス支援を提供することを可能にし、またある同盟国が攻撃された時に自衛隊が支援を差し伸べることを可能にした(その戦闘は必ずしも日本の防衛に関連している必要はない)。これは日本の安全保障態勢にとって状況を一変させるものであった。

最終的に安倍政権は、改定された『防衛計画の大綱』を通じて追及していると報じられているものを手に入れるかもしれない。しかし、「いずも」型駆逐艦の小型デッキ型空母への変換は、10機から12機という極めて少ない定数のF-35Bを搭載して運用するため、遥か遠くの尖閣諸島を防御するために最もコスト効果があり戦術的に賢明な方法であるかどうかは別問題である。

 

筆者ダニエル・ダーリンは、フォーキャストインターナショナル(FI)社の「国際軍事マーケット」(IMM)シリーズで、ヨーロッパ及びアジア・オーストラリア&環太平洋を担当し、それらの市場を形成する政治的・経済的な力について豊富な専門知識を提示している。IMM シリーズは、140ヶ国の軍事能力、装備要件、及び戦力組成保有状況を精査し、これら各国及び地域の防衛見通しを形成する政治的・経済的動向を対象にしている。